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会見内容

高江ヘリパッド移設問題に関する情報公開

米軍が全面不開示決定 理由は日本政府が不開示を要請

記者発表の内容
2009年6月17日 さい塾 梅林宏道・茨木哲

1 まえおき
(1)「さい塾」は日米の情報公開法を駆使して平和問題に取り組む「塾」である。2008年6月に発足した。現在約30人が、インターネットを中心に活動。主宰:梅林宏道。
(2)1996年12月のSACO最終報告において、北部訓練場のヘリパッドを返還予定区域から残余の区域に移設する決定がなされたが、12年以上が経過する今も進展の目途が立っていない。重要な理由の一つは、貴重な自然を破壊する事業であり、その後も健康と安全に懸念を残す事業であるにもかかわらず、場所選定の理由や経過が明らかにされていないことにある。
(3)事業主体は日本政府である。しかし、那覇防衛施設局の環境影響評価図書も明記しているように(例えば添付7)、事業は日米の緊密な協議で行われてきた。そこで、米軍発の関連文書を米国の情報公開法によって請求して、場所選定や環境影響評価の経過を明らかにすることを試みた。

2 情報公開請求の内容と経過
◆請求者:さい塾:茨木哲
◆請求先:米海兵隊基地キャンプバトラー(Marine Corps Base, Camp S.D. Butler)
◆請求内容
・北部訓練場の6箇所のヘリコプター離着陸帯建設予定地の選定過程および選定理由を示す文書
・北部訓練場に新しく建設されるヘリコプター離着陸帯の建設・移設工事、およびヘリコプター運用に対する環境影響アセスメント文書

◆経過(下線は米軍からの手紙
2008/8/21付 情報公開請求(郵送) (添付1
2008/9/17付 一度目の回答:ブローマン海兵隊大尉(fax)
     ・9月3日に請求を受領した
     ・20日間では処理できない
     ・離れた事務所からの文書の収集や他機関との協議が必要
2008/9/29付 二度目の回答:ブローマン海兵隊大尉(fax) 添付2
     ・遅延の再説明。さらに90日の期間を要請
     ・協議の必要な機関として「日本政府」が明記される (抜粋訳5
2008/10/04 問い合わせ(電子メール)
     ・二度の手紙の理由を問う
2008/10/07 問い合わせへの回答:リナ・カーデナル担当官(電子メール) (添付3
     ・極めて多数(numerous)の関係文書が集まっている。 (抜粋訳5
     ・「在日米軍司令部と日本政府」との調整が必要、公開には両者の同意が必要と2個所にわたって
      明記 (抜粋訳5
     ・さらなる時間が必要。2008年12月1日ごろに回答できると予測
2009/1/12 期限オーバーで催促(電子メール)
2009/1/21 催促への回答:リナ・カーデナル担当官(電子メール)
     ・在日米軍法務部検討中。来週末(1月末)には文書が届く
2009/3/17付 最終回答:ファルカムJrキャンプバトラー法務長官室(郵送) (添付4
     ・全面不開示 (抜粋訳5
     ・米情報公開法除外項目(b)(3)と合衆国法典第10編第130c条「情報の不開示:
      外国政府や国際組織の一定の機微な情報」が不開示理由 (抜粋訳
2009/5/15付 異議申し立て(郵送)

 経過を要約すると以下のようになる。
(1)米軍から4回の中間的回答があった。その段階で、米軍は該当文書が極めて多数存在するが、日本政府との協議と同意が必要であると述べた。
(2)09年3月21日付で最終的な全面不開示の回答があった。全面不開示決定で述べられた唯一の法的根拠は「米情報公開法(b)3項」(他の法律によって開示が免除されている場合)であった。その際の法律として合衆国法典第10編第130c条「情報の不開示:外国政府や国際組織の一定の機微な情報」が示された。

3 不開示理由についての考察
(1)適用された法律の関係条項を添付した(添付?)。「米情報公開法(b)3項」に関しては(A)、(B)のうち、(B)が本件に該当する。つまり、適用される合衆国法典第10編第130c条は、ある厳密な規準の下で外国政府の意向を反映して不開示決定をすることを許している。
(2)合衆国法典第10編第130c条で言うところの「外国政府」が日本政府であることは、上記経過における米軍回答から明らかである。
(3)米軍発の情報の中に日本政府から与えられた情報が含まれていることはありうるであろう。しかし、米国の情報公開法が対象としているのは、当然のことながら日本政府が作成した文書ではなくて、米軍発の文書であり、米軍の見解や情報がそこに含まれる性質のものである。したがって、我々の請求に関連して、合衆国法典第10編第130c条で該当する項目は、(b)(3)(A)「外国政府や国際組織が、書面によって、当該情報の非公開を要求している」であると考えられる。理屈の上では、日本政府が高江の問題に関しては米軍の考え方や情報を一切公開すべきではないという文書を予め作成しており、(b)(2)に該当するという場合もあり得るであろうが、極めて考えにくい。
(4)いずれの場合においても、日本政府の文書による要求が理由となって、米軍が全面非開示を決定したことになる。
(5)「極めて多数(numerous)の関係文書が集まっている」と米軍が述べたものの中には、実質的に日本政府が作成した、あるいは日米共同で作成した文書も含まれているだろう。しかし、そのような文書ばかりであるとは考えられない。

5 まとめ
(1)今回の例は、日本政府の要求が米軍情報の非開示決定をもたらせたことが、経過上明らかになった初めてのケースである。
(2)開示請求した情報は、米軍作戦に関わるものではなくて手続きや環境評価に関するものであり、通常全面非開示は考えられない。梅林の場合、米情報公開法を利用して20年の経験を積んでいるが、環境や安全に関する環境文書などが、存在が明らかになった上で全面拒否されることはない。今回は、日本政府が介入することによって、異常な決定がなされたと考えられる。また、高江問題について、日本政府が極めて神経質であり、秘密主義に陥っていることを示している。
(3)今回の事態は長期的な観点から極めて憂慮される。米国の情報公開法の先進性は米国が誇るべきものであるが、日本の情報公開制度の後進性に影響されて、日本人にとっては後退したものに変貌してゆく可能性があるからである。この「悪貨が良貨を駆逐する」傾向を「自衛艦によるイラク作戦に従事する米海軍艦船への給油」を暴露して以来感じてきたが、今回その一端が明らかになったと受け止めている。
(4)現在、米軍への異議申し立てと同時に、日本政府への同じ文書請求を行っており、さらなる解明を継続したい。



――以上

 連絡先:梅林宏道 045−563−5101(ピースデポ)、045−563−7941(自宅)
     6月17日当日(午後6時まで) 携帯電話 090−2465―6893(茨木が取り次ぎ)